麻里 続編

 
 

石川県へ

2018年02月12日

羽田空港行きのモノレールが緩やかに左カーブを曲がり始めると、窓についた雨滴は一本の水の帯となり窓の上を後方に向かって流れていく。雨脚が強まると水の帯は二本、三本となり、それらがまた集まり太い帯を造る。微妙な車体の傾斜が作り出すオブジェを、私はぼんやりと眺めていた。視線を遠方に向けるとビルの間を見え隠れする東京湾の淀んだ鉛色の海が見えた。それは、海というよりも巨大な器に溜められている汚水のようであった。

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